中原 淳著『経営学習論』を読み終わった。
この本の目的は以下のように書かれている。
経営学習論の学問的出自は極めて新しい。世界的に見ても十分な研究の蓄積があるとはいえない。それゆえ,その学問的状況は混沌としており,日々変化している。本書の目的はその「全体像」を描き出すことにある。 なお,その目的を達するにあたって本書で筆者は,1)組織社会化,2)経験学習,3)職場学習,4)組織再社会化,5)越境学習という5つの理論的視座から経営学習論の言説空間の全体像を描き出す。
もともとは「組織再社会化」というキーワードを社内で教えてもらい、その参考文献としてこの本をおすすめされていたのだが、長く積読にしていたのがもったいなかった。もっと早く読んでおけばよかったと思う。
この本を読んで、これまでチーム論や組織マネジメントの文脈で断片的に学んだり経験してきたことが、経営学習論というフィールドの上で結びついた感覚があった。マネージャーとしての仕事をしていると、ひとつひとつの課題が特殊で個別性が強いように感じるが、この本を読むと一般的かつ抽象的な課題のあらわれでしかないことがよくわかる。
会社での採用やオンボーディングなどについて考えるため、「組織再社会化」の理解を深めようと読み始めたが、この本の射程はとても広く、知り合いのマネジメント職全員におすすめしたいと思えた。