知識には質量がある。そして万有引力をそなえている。
一箇所に集まった知識がある重さまで達すると、万有引力によって自然に周囲の知識を引き寄せるようになる。
T型の人材というのは、実は重力による歪んだ空間の形をしている。
ある特定の事物についての知識や技術を深めようとすると、おのずと周辺にある事物からの関連知識も増える。つまり、積極的に周辺領域へ知識を広げなくとも、重力が強ければ周りのほうから"落ちて"くるようになる。
したがって、T型を目指そうという者がまず形成すべきものは空間を歪ませるほどに重い知識の核である。そこがなければ、知識同士の引力に期待できないため苦労する。
このような学びの広げ方は、流れに任せた無軌道なものという見方もできる。また、知識が大きく偏ったものになる可能性もある。
そうだとしても新たな方向性として重心となる核を、意識的に新しく作り出すことはできる。複数の核がある程度重くなればそれらもまた引き寄せ合い、融合すれば一つの大きな知識体系となる。