成長の条件と目標の限界

成長の条件

成長、進歩、発展、進化…これらの言葉の本質は「好ましい変化」である。変化前とくらべて変化後の状態が「好ましい」ならば、その変化は成長や進歩と呼ばれる。

ここから、成長の条件が2つ取り出せる。ひとつは「変化すること」、もうひとつは「変化の差分を評価すること」。
変化が起きなければ成長はありえない。また、差分を評価できなければその変化は成長とはいえない。なぜなら衰退や後退も変化であることには変わらないからだ。

したがって、個人や集団の成長を促すときには、その成長を妨げているのが 「変化の滞り」 であるのか、「差分評価の欠陥」 であるのかを見分けなければ効果的な支援にならないだろう。

目標の限界

明確な理想像を目標として与えることは、成長を促すために必要な要素だが、それだけでは十分でない。なぜなら、目標の効果は「差分評価の欠陥」を修正することだけだからだ。どのような変化が好ましい変化かという判断基準が、「目標達成にどれほど寄与するか」というわかりやすい尺度を与えられることで間違えにくくなるというのが目標の力である。だが、これは成長の条件のすべてではない。

目標を与えるだけで成長や進歩を見せる個人や集団は、目標が与えられる前から変化しつづけていた個人や集団である。ただそこに指針がなくどちらが前かわからなかっただけで、変化することはもともとできているような人々だ。そのような場合には、明確な目標を与えることが解決策となる。

だが、「変化の滞り」を抱えている場合には目標だけでは解決しない。人間にも慣性の法則がある。止まっているものが外からのエネルギーなしにみずから動き出すことはなかなかない。集団になればなおさら現状を維持しようとする力学は強化される。そのような相手へ成長を促すには、まず変化を起こすことが最優先になる。そのためには、目標とともに初速をつける働きかけが不可欠だ。一度動き出して何らかの変化を起こせば、それが最善でなくとも成長に向けた条件のひとつをクリアできる。あとは目標を基準にした差分評価ができれば、次の変化に向けた加速度がつく。

目標はあくまでも目標である。人は北極星の引力によって北に向かうのではない。北極星は歩む人のための目印である。立ち止まったままの人にとっては、どちらが北でも関係ない。

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