株式会社CARTA HOLDINGSといえば、2021年に翔泳社のITエンジニア本大賞を受賞した『事業をエンジニアリングする技術者たち』(出版: ラムダノート)で有名かと思います。
CARTA HOLDINGSさんの特色のひとつに、「技術力評価会」という評価制度があります。詳細は会社公式サイトに書かれていますが、エンジニアの評価観点のうち「技術力」の部分を、できる限りオープンかつフェアなプロセスで評価するための仕組みとしてよくできていると前々から思っていました。
技術力評価会には社外の人を評価者として呼ぶ「外部評価者」という制度があり、今回僕はお誘いを受けて外部評価者として参加させてもらうことになりました。自分が勤めていない会社の評価プロセスに参加するというなかなかない経験をしたので、やったことや感想などを記録しておきます(ブログに書いていいと許可はもらっています)。
また、CARTA HOLDINGSというちょっと尖ったおもしろい会社があるよということがもっと認知されると『事業をエンジニアリングする技術者たち』のファンとして嬉しいです。アフィリエイト記事ではないです。
外部評価者
技術力評価会の外部評価者に関して検索するとけっこう昔のものがヒットします。VOYAGE GROUP時代には複数の外部評価者が一堂に会して盛り上がっていたようですが、今回の僕の場合だと、社員の評価者の方2人+自分の合計3人が評価者だったので、下記の記事とはまた違った雰囲気だったのではないかと思います。
3月にDMでお誘いを受けて、4月頭ごろからSlackなどに招待されて動き出して、5月の中ごろに評価会本番とフィードバック会が実施されました。4月末ごろに評価会のための資料を共有してもらったので、2週間ほどじっくり読んで臨むことができました。被評価者の成果の理解以前に、その前提にある組織構造や事業構造などの文脈から押さえる必要があったので、けっこう事前準備に時間を使いました。その分評価会ではしょうもない質問に時間をかけず、芯を食った会話ができたのではないかと自分では思います。
評価会当日は被評価者が資料を元にプレゼンをし、それに対して評価者との間で質疑応答をするような形でした。その後各評価者がまとめたフィードバック文書を集約し、ある程度のすり合わせを行ったうえで提出しました。技術力評価会の発表資料とフィードバックはセットで社内公開されているので、誰がどういう成果発表に対してどういうフィードバックを受けているということが社内の誰からもわかるようになっています。この点は評価者側もだいぶ試されるフェアな仕組みだと思いました。レベルの低いフィードバックをしてたら評価者のほうが周りから評価下げられてしまうでしょう。ストイックなオープンネスへのこだわりだと思います。
また、今回は「技術力評価会」といいつつも、ビジネスとエンジニアリングの交点、まさに『事業をエンジニアリングする技術者たち』的な視点での成果を評価してほしいということだったので、GitHubレポジトリなども共有はしてもらっていましたがほとんど見ませんでした。このあたりも、事前に期待を伝えてもらっていたので見るべきポイントを絞れて助かりました。
一方で、被評価者が評価されたいポイントだけを見ていても、今後の成長に資する適切なネガティブフィードバックがしにくいので、少しだけエンジニアリングのほうに寄せた観点でも質問をしました。探るべきはビジネスとエンジニアリングの交点であって、ビジネスに寄り過ぎてエンジニアリングがおろそかになっては技術者として本末転倒ということは、CARTAの文化において大事な土台の観点かなと思います。社外の人間がえらそうに言いますが。
感想
成果発表の内容はふつうにCARTAらしくていい話だったのであまり言うことはなく、重箱の隅を突きますとちゃんと宣言したうえで突きました。しかし終わったあとの飲み会では、被評価者本人からド真ん中グサグサ刺されましたと言われたので、痛くしてごめんな…と思いつつ、嬉しそうでもあったので特に反省はしていません。多分そういう刺しの部分こそが外部評価者を呼んでいる意味、「新しい視点や気づき」ってやつだと解釈していますし、僕が呼ばれたのもそういうのを期待していたんだろうと思っています。
僕としても、知らない事業の知らない取り組みで生まれた成果を評価するというそこそこエクストリームな体験をして刺激になりました。新しい文脈をキャッチアップする瞬発的な適応力みたいなものが鍛えられるいい訓練だと思います。もしまた呼んでもらえたら引き受けたいですね。ド真ん中グサグサ担当ということで。