Angular 2 Router v3.0.0-alpha.3を触ってみた

2016-06-10
This post is possibly out of date.

今日リリースされたAngular 2 Router v3.0.0-alpha.3を触ってみたうえでの注意点や感想を書いておきます。

インストール

$ npm install -S -E @angular/router@3.0.0-alpha.3

すでにlatestも3.0.0-alpha.3になっているんですが、とりあえずバージョン固定の -E にしておくのをオススメします

また、 typingstypescript@next が必要です。 前者は postinstall で要求されるのでインストール時にだけ必要で、後者はビルドに必要です。

@router-deprecated からの変更点

ほぼすべてが変わったので書き換える箇所は多かったですが、書き換え方は単純だったのでさほど苦しみはなかったです

ルート定義

  • RouteConfig は無くなった
  • RouterConfig 型でルートを記述する
  • name は無くなった
  • useAsDefaultindex になった
  • 入れ子のルートは children を使う
  • ワイルドカードは **
export const ROUTES: RouterConfig = [
    { path: '/home', component: HomeCmp, index: true },
    { path: '/chat', component: ChatCmp},
    { 
        path: '/team/:id', 
        component: TeamCmp,
        children: [
            { path: '/details', component: DetailsCmp }
        ] 
    },
    { path: '**', redirectTo: '/home' }
]
  • bootstrap時に provideRouter を使う

RouterOutlet の使い方は今までと変わりません。ルートのコンポーネントと、childrenを持つコンポーネントは<router-outlet>を持つ必要があります

import {ROUTES} from './app.routes';

bootstrap(App, [
    provideRouter(ROUTES);
]);

これまでと違い、ルート定義はコンポーネントの持ち物ではなく、アプリケーションの持ち物になりました。 @RouteConfig で書いていたルート定義をカットアンドペーストでガシガシ集めていく作業です。

ナビゲーション

ルート定義から name がなくなったので、必然的にURLのパスでナビゲーションを行います。 セグメントを配列形式で表現するのはそのままです。

this.router.navigate(['/team', this.teamId, 'user', this.userName]);

RouterLinkを使うと次のようになります。これもほとんど変わってないですね

<a [routerLink]="['/team', teamId, 'user', userName]">{{ userName }}</a>

相対パスでの移動も可能ですが、今のところは相対パスの解決をするために ActivatedRoute を使わないといけません

@Component({...})
class TeamCmp {

    constructor(private router: Router, private route: ActivatedRoute) {
    }

    navigateToMember(name: string) {
        this.router.navigate(['./user', name], { relativeTo: this.route });
    }
}

すこし冗長ですが、relativeTo に渡したRoute(つまり /team/:id) を起点にパスの解決をしてくれます。 ActivatedRoute はこのあとにも何度も出てくるRouter v3の重要キャラクターです。

クエリパラメータを付けてナビゲートしたいときは次のようにします

const params = { foo: 'bar' };

this.router.navigate(['/with-query-params'], { queryParams: params });
// => /with-query-params?foo=bar

フラグメント( #section 的なやつ) も同様です

this.router.navigate(['/with-fragment'], { fragment: 'sectionA' });
// => /with-fragment#sectionA

リンクパラメータの中にオブジェクトを挿入すると、そのセグメントでのマトリクスパラメータになります。 v1やv2ではこれがクエリパラメータと混ざってしまうバグなどありましたが、完全に別物になったので使いやすくなりました

this.router.navigate(['/foo', {extra: true}, 'bar']);
// => /foo;extra=true/bar

パラメータの受け取り

コンポーネントが現在のルートからデータを取得するためには ActivatedRoute を使います。

/team/:id のようなURLパラメータは ActivatedRoute#params から取得できます。 これはObservableになっていて、.subscribeすることで非同期的にパラメータを取得できます。

@Component({...})
class TeamCmp {
    id: string;

    constructor(private router: Router, private route: ActivatedRoute) {
    }

    ngOnInit() {
        this.route.params.subscribe(params => {
            this.id = params['id'];
        });
    }
}

今までは確実にルーターから読み込まれたときにパラメータを取得するには routerOnActivateComponentInstruction を受け取る必要がありましたが、 ActivatedRouteがその役目を負ってくれるので、コンポーネントの初期化はngOnInitにまとめることができます。

上位のルートのパラメータを取得するには少し複雑になります。例えばユーザー詳細からチームのIDを手に入れるには次のように書きます

@Component({...})
class UserCmp {
    teamId: string;
    name: string;

    constructor(private router: Router, private route: ActivatedRoute) {
    }

    ngOnInit() {
        const teamRoute = this.router.routerState.parent(this.route);
        this.teamRoute.params.subscribe(params => {
            this.teamId = params['id'];
        });
        this.route.params.subscribe(params => {
            this.name = params['name'];
        });
    }
}

クエリパラメータやフラグメントも同様にObservableで手に入ります。これらはどのルートにいるかに寄らないので、Routerだけで取得できます。

const currentState = this.router.routerState;
currentState.queryParams.subscribe(params => {
    // params: {[key:string]: string}
});
currentState.fragment.subscribe(fragment => {
    // fragment: string
});

その他

ルートの状態の変更は Router#events からObservableで取得できます。

this.router.events.subscribe(ev => {
    console.log(ev);
});

CanActivateCanDeactivate はまだ試せていません。 Guard という仕組みもあって強力な遷移制御ができるので、後日試します。 公式のサンプルを見るとCanDeactivateとGuardの実例があるので参考になると思います。

http://plnkr.co/edit/ER0tf8fpGHZiuVWB7Q07?p=preview

注意点

TypeScript 1.9を要求する

配布されているパッケージが含んでいるd.tsファイルにreadonlyが含まれているので、TypeScript 1.9以降でないとビルドできません。

いくつかのバグ

次の2つのバグを踏みました。

ネストされたルートから別のネストの中のルートに移動しようとすると、CanDeactivateの解決順序のバグでエラーが発生します。 ワークアラウンドとして、直接ナビゲートするのではなく、上位のルートを踏んでから段階的に遷移することで回避できます。

// from menu1/item1
this.router.navigate(['/'])
    .then(() => {
        this.router.navigate(['/menu2/item1']);
    });

index オプションを使って設定したルートが使われるときに、本来のURLに書き換えられないバグです。 /home をindexにしたときに、 / に来たらHomeCmpが表示されますが、URLは/のままになってしまいます。

これは今のところどうしようもないので、無理やり解決したければURLの変更を監視してlocationを書き換えないといけません

所感

Router v1やv2とはルート定義の書き方が大きく変わりましたが、そこは本質ではなくて、Observableの積極的な活用こそがv3の肝です。 Observableによって手に入る最新の状態を使えば良いので、RouteParamsComponentInstructionで混乱することはありません。 ミュータブルな値を扱わずに済むというのが、v3が素晴らしいルータである理由のひとつです。

とはいえまだalphaバージョンでバグもあり完全ではないですが、すぐにBeta Routerから移行できるだけのものは揃っているようです。 ルート定義が増えるほど手間も増えるので、Beta Routerを使っている場合はなるべく早く書き換えたほうがよいでしょう。 これから開発する場合はv3で決まりです。

このエントリーをはてなブックマークに追加